「塔くらいある目玉の犬を描いてください」と言われたら、あなたはどんな画を描きますか?

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最初の部屋には茶碗くらいの目玉のある犬。
次の部屋には水車くらいある目玉の犬。
そして、最後の部屋には塔くらいある目玉の犬。
これは、アンデルセンの「火打ち箱」というお話の中に登場する場面です。

もし、これを読んでいるあなたが「この3つの場面を表現してください」と言われたら、どんな方法で形にしますか?

兵隊の体がだんだん小さくなるように描いていく。犬の目の中に実際に茶碗や水車を描いてしまう……。
いろいろな方法が考えつきますが、平面の中でその違いを表現していくのは簡単ではありません。塔のような犬と小さな人間を描くことが出来ても、それが部屋の中に入っているという不可思議な状況を描いたことを表したことにはならないからです。

この不思議な物語に、面白い方法でアプローチした作家がいます。

その作家の名前は、高野文子さん。

マンガ家を本業としながら挿絵やイラスト、絵本の分野でも高い評価を得ている彼女は、ペーパークラフトという方法で「火打ち箱」の世界を表現することに挑戦しました。
その方法とは、シンプルな線で描かれた人物を紙の中に描き、それを切り出すことで立体感を作り、さらに意図的に影をつけることで奥行きを表現するというもの。

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こうして出来た絵本はシンプルな描線の中に不思議な奥行きと怪しさを持った内容になっています。
アイデアと緻密な計算から生まれた不条理な世界は、表現というものを考える上でとても参考になると思います。

すでに出版社の在庫は切れているようですが、気になった方はぜひ探して手に入れて下さいね。

 

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