あなたのインスピレーションはどこから? 福田里香の異色レシピが広げる世界「まんがキッチン」

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あなたのインスピレーションはどこから? 福田里香の異色レシピが広げる世界「まんがキッチン」

マンガや絵本に登場する食べ物を実際に作り、再現するし、レシピとして発表する。

ぐりとぐらのカステラをフライパンで再現した写真が印象的な「絵本からうまれたおいしいレシピ」(2005年)から、こうしたフード再現本は数え切れないほど出版されてきました。

こうした企画本の中で、ひときわ印象に残るのがお菓子研究家の福田里香さんによる「まんがキッチン」です。

通常こうした再現本は、作品で登場する食べ物を自宅で作れるレシピに落とし込むというのが一般的ですが、「まんがキッチン」には“再現レシピ”は登場しません。

マンガから得たインスピレーションをお菓子の形に落とし込むというちょっと変わったことをやっているのです。

たとえば、くらもちふさこさんの「天然コケッコー」を題材にしたお菓子は、卵白とココナッツを焼いた三角形のお菓子。

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三角関係の物語だけど、どこか白く清冽な空気の本作を、白い三角形で表したのだとか。

パティシエを主人公にした「西洋骨董洋菓子店」でも、ケーキや洋菓子を作らず、登場人物がかけているメガネをモチーフにしたプレッツェルを作ったり。

福田さんのレシピはいつもどこか飛躍していて、でも、その飛躍が作品の新しい魅力を教えてくれるような不思議な面白さに満ちています。

こうした不思議な飛躍を作り出せるものはいったいなんなのか。

才能? センス?

もちろん、そういったものも影響しているのでしょうが、私は福田さんの持つイメージを言葉にする力の高さが面白いお菓子のアイデアを生み出しているのではないかと思いました。

『天コケ』にはさまざまな恋の三角関係が描かれています。だけど、どろどろじゃなく、白く清冽なイメージ。

この言葉から引き出されたのがピラミッド型のココナッツのお菓子。自分がイメージする世界をひとつひとつ言葉にしていくことで、次の新しいイメージが引き出されていく。

その過程からびっくりするようなオリジナルな作品が生まれるのではないでしょうか。

ものづくりを続けていると、どうしてもアイデアが枯渇してしまうこと、インスピレーションが湧かなくなってしまうことがあると思います。

そんなときは、一度自分が好きなものを言葉にして表してみてはいかがでしょうか。

そこからまた新しい、意外なイメージや作品が生まれてくるかもしれません。

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