小さな箱に描かれたデザインが郷愁と驚きを与えてくれる「マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス」が発売

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 「マッチ・ラベル」と聞いて、その様相を思い浮かべることができる人がどのくらいいるでしょうか。

 ライターが普及するまで、マッチ箱は手軽な広告ツールとして広く利用されていました。喫茶店、ホテル、銀行、タクシー……。多くの企業が小さな箱に宣伝文句をデザインしていた時代があったのです。

 今回紹介する「マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス 高度経済成長期の広告マッチラベルデザイン集」は、豊富なバリエーションと形が展開されていた高度経済成長期のマッチ・ラベルを、「業種別」「デザイン別」「変わり種」「今でももらえるマッチ」のカテゴリーで1200個以上を紹介するもの。

今では見かけること自体少なくなったマッチ箱が、多彩な切り口で紹介されています。

 デザインを軸に、ブルーのマッチだけを集めたページもあれば、銀行のマッチだけを集めたページも。銀行のマッチには名画や静物画が描かれており、どこかノーブルな雰囲気が強調されるのが面白い。

 また、マッチにはデザインサンプルがあり、まったく違った地域の違う店が同じデザインのマッチ箱を配っていることも珍しくなかったとか。

 さりげない豆知識に歴史の厚みを感じたり、デザインの可愛らしさや美しさに胸をときめかせたり。読むほどにマッチ箱の奥深さに魅入られてしまうすてきな一冊。

 おそらく今後姿を消していくであろうマッチ・ラベルに郷愁を感じつつ、その多彩さに新しい驚きをもらえること間違いなしです。

 また、今回の刊行を記念し、現在、吉祥寺の書店「ブックスルーエ」では「マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス」刊行記念展「ハートに火がつく魅惑のマッチ・ラベル劇場」を開催中。

 会場では、大量のマッチ箱を色ごとに分けて展示中です。これだけの量の多彩なマッチ箱を目にする機会はなかなかないはず。

 同書店はかつて喫茶店を経営していたため、喫茶店「珈琲ルーエ」時代のマッチ箱も展示されています。著者である小野氏のコレクター友達、西荻窪の「村田商會」店主が監修したという中央線マッチMAPも掲示。小さなマッチ箱を眺めていると、かつて存在した街の風景が改めて頭の中に広がっていくような気がします。

 

「マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス 高度経済成長期の広告マッチラベルデザイン集」たるみ燐寸博物館 小野 隆弘(著/文)
発行:グラフィック社
B5変型判:144ページ
定価:1,700円+税
初版年月日:2019年4月25日
ISBN9784766132595

 

「マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス」刊行記念展 ハートに火がつく魅惑のマッチ・ラベル劇場
会期:2019年5月1日(水)~5月31日(金)
開催時間:9:00~22:30
会場:ブックスルーエ
入場料:無料
HP:http://www.books-ruhe.co.jp/event/event_data/2019/05/index.htm
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