絵本「はらぺこあおむし」の作者・エリック・カール氏、死去

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5月23日、世界的人気絵本「はらぺこあおむし」の作者、エリック・カールが91歳で亡くなりました。

生まれたてのちいさなあおむしが次々とおいしいものを食べて、最後にきれいな蝶になる。シンプルで心が浮き立つお話と、きらびやかだけど、どこか深みのある色彩。そして、食べ物のかじりあとがしかけ絵本になっているという楽しい構成で世界中で愛されている絵本「はらぺこあおむし」。

1969年のアメリカでの出版ののち、60以上の言語に翻訳され、5000万部以上を発行。世代や地域を込めたベストセラーとして、今でも多くの人々に愛されています。

ページをめくると次々登場するまあるい穴の開いたおいしそうな食べ物。無邪気に食べ歩くあおむしが、最後に食べたものすべてのきらきらいした色合いを吸収したような、美しい羽根の蝶になる最後のページは何度読んでも明るい気持ちになります。

第2次世界大戦中、爆撃機から目立たぬように色彩を排除した街で生活した氏にとって、豊かな色彩は自由と平和の象徴でもあったとか。

氏の絵本に小さな子どもたちがおいしいものを気兼ねなく食べる物語や、新しい世界へ旅立っていく物語が多いのは、作品の中に平和な世界への願いが込められているからなのでしょう。

ところで、日本と『はらぺこあおむし』には浅からぬ縁があります。

実は、世界で初めて作成された『はらぺこあおむし』は日本で作られたものなのです。当時、アメリカにはこの作品のしかけをうまく印刷・製本できる会社がなく、困った編集者が日本の児童文学出版社偕成社に相談し、印刷・製本を引き受けたのです。

これをきっかけに偕成社の社長今村廣氏とエリック・カール氏は家族ぐるみの付き合いとなり、氏はその後何度も日本を訪れることになりました。偕成社には、2017年に氏が即興で描いた墨と筆で書かれたあおむしの姿が、掛け軸として残されているそうです。

エリック・カールさんがお亡くなりになりました(偕成社HP)

https://www.kaiseisha.co.jp/news/28069

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