チョコレートの包み紙に現れるロシアの文化『ロシアのチョコレート包み紙ーソ連時代のかわいいデザインー』

書籍

 ロシアのチョコレートの包み紙だけを集めた、可愛らしくも刺激的な本『ロシアのチョコレート包み紙ーソ連時代のかわいいデザインー』が発売されました。

 

 

 著者は奈良でロシア雑貨店「マールイ・ミール」を営む小我野明子氏。現地で出会ったソ連時代の包み紙を追い、パッケージデザイン専門誌「タラ・イ・ウパコフカ(容器と包装)」編集長のイーゴリ・スミレンヌィ氏と知り合います。

 

 ロシア初となる包装の歴史デザイン博物館創設者でコレクターでもあるスミレンヌィ氏の協力を経て出来上がったこの本は、日本では今まで紹介される機会が少なかった、ロシアのチョコレートの包み紙を歴史や社会情勢についても解説しながら、丁寧に紹介しています。

 

 もともとロシアでは、19世紀末から20世紀初めにかけて、独創性のあるパッケージデザインが数多く生まれました。 デザインへの意識はソ連時代にも受け継がれ、企業が国有となった社会の中でも、様々なクリエイターたちが独創的で洗練された包み紙のデザインを生み出してきたのです。

 

 

 歴史やアルファベット、動物だけでなく、民話やアニメのシーン、著名な画家の絵画、記念日、さらには社会情勢にまつわるものまで。「朝のニュースは新聞で。夕方のニュースはチョコレートで。」と謳われるほど、チョコレートと包み紙は市民の間で切り離せない存在だったとか。

 

 

 本書は、そんなソ連時代の包み紙を、スミレンヌィ氏のコレクションから紹介。1950~80年代の包み紙を中心に、さまざまなパッケージがテーマごとに紹介されています。ロシア・アヴァンギャルドの隆盛期を思い出させる独特のデザインの他、赤ずきんや働く子どもたちの、日本とずいぶん趣の違う服装なども面白く遠いロシアの地への関心が高まります。

 

甘いチョコレートの包み紙に現れる歴史や文化の様相。バレンタイン目前の今に、思わず手にとってしまいそうな一冊です。

 

書名:ロシアのチョコレート包み紙ーソ連時代のかわいいデザインー
発行元:青幻舎
著者:小我野明子、イーゴリ・スミレンヌィ
翻訳:有信優子
定価:2,420円(税込)
判型:A5判
ISBN: 978-4-86152-878-1

 

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