「ニョロニョロみたいなみたいなアレの名前は?」「早蕨」と答えられちゃう楽しい本が登場「やきもの文様事典」

書籍

レストランや店頭、あるいは美術館や博物館でやきものを見て、その絵柄に心惹かれることってありますよね。

動植物から道具まで、さまざまな絵柄がやきものには描かれています。ただ見ているだけでも、心惹かれるやきものの文様ですが、その絵の持つ意味がわかったら、もっと楽しく見たり、使えたりするんじゃないか。そう思ったことはありませんか?

そんな気持ちを満たしてくれるのが、2月22日に誠文堂新光社が発売する『やきもの文様事典』です。

本書の特徴は、主に日本のやきものに施されてきた約100種類の文様を、その意味や時代背景などとあわせて美しい写真で紹介していること。

その文様のモチーフの豊かさには、思わず感動してしまいます。

植物ひとつとってもきわめて多彩。「松」「梅」「竹」「葡萄」「藤」など、意匠がわかりやすいものはもちろん、「早蕨(さわらび)」「鉄線花(クレマチス)」など、意外な植物や聞き覚えのない植物も、さまざまな形で文様の中に描かれていたことがわかります。

下の画像左をご覧ください。このよく見かけるムーミンのニョロニョロを思わせる文様が「早蕨」だったとはまったく知りませんでした……!

また、動物文様では、「栗鼠(リス)」や「虫」なども登場。多産な栗鼠は子孫繁栄を意味する吉祥文様で、さらに葡萄を組み合わせた絵柄は西洋でも人気があるとか。虫の中では華麗さが際立つ「蝶」が多いという話や、「蜻蛉(トンボ)」は前にしか進まない習性があるため武将たちが好む図柄だったという話など、当時の人々の生活が垣間見える解説がとても興味深いです。

「文房具」「楽器」などの、生活用品の文様も魅力的。誰かにプレゼントする際に、音楽好きな人には太鼓の文様のやきものを……なんて考えるのも楽しいかも。

もちろん、おなじみの「円」「横縞」「縦縞」「石畳(市松)」など幾何学文様の項目も用意されています。

本書では、器の図案やレイアウトにも触れており、展開図、平面図、スケッチなどの資料のほか、「反復」や「破れ」など文様を描く際の代表的なパターンも掲載されています。ただ楽しむだけでなく、デザインの仕事をされているからには参考になりそうな情報も。

繊細で質の高い印刷も楽しく、じっくり眺めて長く手元に置いておきたい1冊ですね。

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「やきもの文様事典」
編集:陶工房編集部
発行:誠文堂新光社
版型:B5変判
ページ数:168
定価:本体2,300円+税
ISBN:978-4-416-52138-0
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