美しい庭園と建築を活かし、現代アートからポスター展までさまざまな展覧会を開催している東京都庭園美術館。
美しい邸宅の中で美術を鑑賞できる場所として、さまざまな人々に愛されている美術館です。
その東京都庭園美術館では、現在「建物公開2023 邸宅の記憶」展が開催されています。
もともと同館の建物は1933年に朝香宮家の本邸として竣工したもの。この建物は、1920年代から30年代にかけて欧米を中心に世界中で流行したアール・デコ建築が日本で花開いた事例を、良好な状態で今日に伝えるものとして国内外から高く評価され、現在では重要文化財に指定されています。
これまでも、年に一度の建物公開展で、意匠や技法、素材など、建築そのものに注目しながら、毎年異なったテーマを設けて、様々な角度から旧朝香宮邸の魅力を紹介していました。
開館40周年という節目を迎えた2023年、本邸宅の主であった朝香宮家の人々に焦点を当てた展示を開催。宮邸時代の家具や調度を用いた邸宅空間の再現展示に加え、かつてこの空間を往来した人々が残した写真や映像資料、工芸品、調度品、衣装などによって、当時の生活の一端が紹介されています。
本館(旧朝香宮邸)は、宮内省内匠寮が設計し、主要な部屋の内装をフランスの室内装飾家アンリ・ラパンが担当。更にアール・デコ期を代表する作家、ルネ・ラリックやレイモン・シュブらの作品も採用され、そこにはアール・デコの世界観が見事に結実しています。保存状態も非常に良好な室内装飾が見どころです。
本展では、この建物を特徴づける素材やディテールを実際に触っていただくコーナーも設けられています。
また、修復したオリジナル家具や同時代の美術品による情景再現やかつての邸宅の実際の写真等も展示。朝香宮家の人々を紹介しながら、同館所蔵の朝香宮家伝来品に加え、国内各地に所蔵されていて、本展のために集められた衣装、工芸、調度など稀有な作品も揃います。精巧で美術的価値の極めて高い宮家ゆかりの品々を目にすることができる貴重な機会です。
もうひとつ注目したいのは明治から、慶事の際の引出物として使用されるようになったボンボニエール! 元々は、西洋諸国で用いられた小型菓子器でしたが、日本の伝統技術を駆使した皇室独自の文化として発展し、今日まで皇室の御慶事を記念する品として引き継がれています。同館過去最大規模となる200点以上のボンボニエールが特別出品は目玉のひとつです。
東京都庭園美術館の魅力的な建築を、生活していた人々の息吹を感じながら味わえる展覧会。写真撮影も可能なので、思い出を写真に記録して残しておくのもいいですね。
会場:東京都庭園美術館 本館+新館
会期:2023年4月1日(土)〜6月4日(日)
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
入場料:一般1,000円/大学生(専修・各種専門学校含む)800円 /中・高校生および65歳以上=500円 ※事前予約制
HP:https://www.teien-art-museum.ne.jp/