たった5年間のブランド/終戦直後のものづくりの心意気を感じる「Made in Occupied Japan」

その他

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ミルク色のかわいらしい陶器の置物に、繊細なフォルムのビスクドール。東洋的エキゾチシズムに満ちた茶器。

三軒茶屋の世田谷文化生活情報センター内の生活工房ギャラリーに集められた陶磁器は、どれも繊細かつ心和むものばかり。

しかし、これらの製品には、その見た目に似つかわしくない不穏な名がついています。

Made in Occupied Japan――つまり、「占領下の日本製」。
小さなギャラリーで開催中のこの展示は、「戦後70年、Made in Occupied Japanの陶磁器が伝える平和のメッセージ」というタイトルなのです。

戦後70年、Made in Occupied Japanの陶磁器が伝える平和のメッセージ

民間貿易が再開された1947年からサンフランシスコ講和条約の1952年までの間に、日本からの輸出品には「Made in Occupied Japan」の刻印を付けるようGHQ(連合国最高司令官総司令部)から命じられていました。

Made in Occupied Japan(OJとも呼ばれています)の印がついた製品は、陶磁器や装飾品、衣類、カメラ、ミシン、玩具、日用品などさまざまなものがあり、たった5年だけという希少価値の高さも相まって、今でもコレクターの収集対象になっています。

陶磁器

今回の展示は、それらの製品の中の代表的な存在、陶磁器を集めたものです。

実は、こうした海外向けデザインの陶製の置物や装飾品は戦前から需要が高く、さかんに輸出されていました。しかし、第二次世界大戦開戦により、こうした陶磁器の製造・輸出は一度途絶えてしまいます。

そして戦後。人員も材料も不足する中で各地で製造が再開され、再び日本製の陶磁器が欧米に輸出されていきます。

可愛らしく上品なその出来栄えには、私たちが「戦後」という言葉から思い浮かべる暗さや屈託は全く感じられません。

陶磁器 人形

それは作り手のプライドなのか、再びものを作り出せる喜びの反映なのか……。

当時ものづくりの現場にいた人たちの気持ちを思い浮かべずにはいられない面白い展示でした。

歴史的なことを抜きにしても、デザインもモチーフも様々な陶磁器たちはとても見応えがあります。独特のデフォルメの面白さはキャラクターデザインなどを手がけている人にはぜひ見ていただきたい内容。入場無料。17日(13:00~17:00)には陶磁器販売会もあります。

陶磁器 人形

会期: 2016年03月26日(土)~2016年04月17日(日)
時間: 9:00~20:00
会場: 生活工房ギャラリー(3F)

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