イラストレーターならステレオテニスに山根慶丈。キャラクターグッズならサンリオのフレッシュパンチの復刻と、ここ数年80年代テイストのイラストが注目され続けています。
特に、どこかやぼったい感じのする80年代風イラストをそのまま現代風に落とし込んでキャラクター化していくステレオテニスは、10代を中心に音楽やファッションの世界で高い人気を誇っています。
こうした「80年代風イラスト」のイメージの源泉のひとつである「旅行先で販売されているファンシーなイラストが入った絵みやげ」を特集した「ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ」がイーストプレスから発売されました。
ファンシー絵みやげと聞いてもピンとこない人もいるかもしれませんが、思い出してください。小中学校の修学旅行や林間学校でのお土産屋で、二頭身に大きな目のキャラクターのイラストに、なぜかローマ字が添えられたのれんやキーホルダー、ハンカチなんかが売られていませんでしたか?
著者の山下メロは、もともと80年代のサンリオグッズやタレントグッズを収集していたそうですが、2010年ごろにフリーマーケットでこうしたファンシー絵みやげに遭遇します。
懐かしい絵みやげとの再会を喜びながら、こうしたファンシーイラストが描かれた土産物についての細かな記述が、本の中にもネットの中にも存在しないことに気づき、収集をはじめたのだとか。
10年弱の収集の成果がぎゅっと一冊にまとめられたこの本は、著者の集めたファンシー絵みやげはもちろん、その歴史や地域ごとの特長についても細かく書かれています。
ファンシー絵みやげが最初に流行ったのは北海道のキタキツネモチーフのグッズで、最も絵みやげの数が多いのも北海道(次いで長野)なんて話も面白い。地域ごとにどんなキャラクターが生まれたのかも書いており、土地の歴史や名産品に沿ったファンシーイラストの考察は読みごたえがあります。
絵みやげだけでなく、なつかしの豆本キーホルダーやファンシーイラストしおりなども紹介。80年代を生きた人なら、思わず懐かしさに胸がときめいてしまうこと間違いなしの内容!
もちろん、「80年代なんて生まれていない!」という人でも、ファンシーイラストに興味があれば、あるいは80年代カルチャーについつい惹かれてしまうなら楽しめることうけあいです。