1902年にイギリスで出版されて以来、全世界で人気を博してきた絵本「ピーターラビット」シリーズ。
まるで人間のような服を着て、いたずらをしたり、母親に世話を焼かれたりするピーターの姿を、目にしたことがない人はいないでしょう。
日本では図書カード、三菱UFJ信託銀行のPRキャラクターとしても人気を博し、多くの人にとっておなじみのキャラクターとなっています。
しかし、イラストやキャラクターグッズとしてのピーターラビットにふれたことはあっても、どんな作品かは知らない人も多いのではないでしょうか。
そんなピーターラビットのことがよくわかる『出版120周年 ピーターラビット™展』が、世田谷美術館で開催されます。
出版120年を記念して開催される同展は、ピーターラビットが誕生するまでの道のりや、その魅力を豊富な資料とともに丁寧に解説してくれます。
会場には絵本に使われた原画34点が展示。動物ごとの毛の流れまで見事に描き分ける丁寧な描写と、それぞれの習性をうまく活かした上で繰り広げられる動物たちの営みは、時に笑いを誘い、時に心を温かくさせてくれます。
特に目玉となるのは、ピーターラビットの原点となった、作者ビアトリクス・ポターが、家庭教師時代の教え子に送った手紙の原本。療養中の教え子を元気づけるために手紙に書いたいたずらうさぎの物語が、世紀を超えて愛されるシリーズのもととなっているのです。
絵手紙の段階ですでにピーターラビットの物語が作品として完成していることが伺えますね。
また、ポターが生活をともにしたうさぎの大量のスケッチも展示されます。柔らかい手の毛ざわりまで伝わるようなうさぎの姿からは、作者の生き物に対する深い愛情と観察眼の鋭さが伝わってきます。
人間・ビアトリクス・ポターの生涯が垣間見えるのも本展の特徴。良家の子女として生まれ、粘菌の研究者を目指すも、女性ということで学会に入れなかったというポター。キャラクタービジネスのための特許を取得し、財産でイギリスの湖水地方の景観を守ろうとしたというポターの姿を、展示物から知ることができます。
展示会場には1905年に作られたピーターラビットのぬいぐるみも!
ピーターラビットの歴史とその魅力が凝縮された豪華な展示。絵本好きにもうさぎ好きにもおすすめできる展示です。
会場:世田谷美術館
会期:2022年3月26日(土)~6月19日(日)
休館日:月曜日(5月2日(月)は開館)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
入場料:一般 1,600円、65歳以上 1,300円、大高生 800円、中小生 500円、未就学児 無料
HP:https://peter120.exhibit.jp/