愛され続けて40年、原美術館が2020年末で閉館に。

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東京都内には、国立新美術館や上野の森美術館といった大きな美術館がたくさんありますが、
美術館ファン、知る人ぞ知る「原美術館」を知っていますか。

美術館が好きなプレシェスタッフMが、今どうしてもご紹介したい「原美術館」について
投稿させていただきます。

JR品川駅から車で5分ほどの住宅街のなかにあるこの美術館は、実業家・原邦造氏の邸宅として 1938 年に竣工されました。
原邦造さんは、原美術館を運営している「公益財団法人アルカンシエール美術財団」の理事長・原俊夫氏の祖父であるといいます。

邸宅を再利用した美術館は1979年に開館され、当時の代用的な建築家・渡辺仁氏によって設計されました。
渡辺氏は上野の東京国立博物館本館や銀座の和光本館を設計したことでも知られています。
窓の形、床のタイル、階段のディティールに至るまでの洗礼されたデザインは、当時の前衛的なモダニズムを感じることができます。

原美術館では、今まで多くの現代美術が展示されてきました。
戦前の邸宅というレトロな館内と、現代美術の調和というのは、不思議な科学反応が起こるようです。
他にはみられないオリジナルの鑑賞空間は、多くの人から親しまれています。

しかし2018年11月に衝撃の事実が発表されました。
2020年12月末をもって、閉館の予定があることが知らされたのです。
原美術館は創立以来、さまざまな改修や増築を重ねてきたといいますが、
古い建築を再利用しているがゆえに「公共性」と言われるユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からも
さまざまな問題点が挙げられているのだといいます。
80 年を経た建物はどんどん老朽化が進んでしまいました。

閉館後の2021年からは、群馬県にある「ハラ ミュージアム アーク」と統合され
引き続き活動がされる予定となっています。

多くに人に愛され続けた原美術館は、閉館まであと1年を切ってしまいました。
ひとつの歴史の終わりに、いま注目が集まっています。

現在、開催している展示はこちら。

森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私
森村泰昌氏は、名画や映画の登場人物、あるいは歴史上の人物に自らが扮するセルフポートレイト作品で知られています。
巧みなメイクや衣装で、時代や人種、性別を超えて様々な人物に自らが成り代わり、
制作を通して原作やその背景に独自の解釈を加えてきました。
今回の展示では、森村氏が脚本を手がけ自演する映像作品「エゴオブスクラ」を通じて、日本近現代史・文化史に言及します。
森村氏は耳慣れない言葉「エゴオブスクラ(Ego Obscura)」に「闇に包まれた曖昧な自我」という意味を込め、
愛情のみでは語りつくせない母国への複雑な感情をにじませながら、「さまよえるニッポンの私」とは何かを模索します。

会期:2020年1月25日[土] ~ 4月12日[日]
協賛:regist ART
協力:一色事務所、千島土地株式会社、ジャパン・ソサエティ
開催時間:11:00 am – 5:00 pm 水曜のみ8:00 pmまで開館 ※入館は閉館時刻の30分前まで
休館日:月曜(2月24日は開館)、2月25日[火]
入場料:一般/1,100円、大高生/700円、小中生/500円
(原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料、20名以上の団体は1人100円引)
会場:原美術館
HP:http://www.haramuseum.or.jp/

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