食を題材に、さまざまな方法で新しい体験をプロデュースしてきた諏訪綾子氏による「記憶の珍味 諏訪綾子展 Taste of Reminiscence Delicacies from Nature」が、資生堂ギャラリーで開催されています。
これまでも食を通して感情や好奇心を呼び覚ますプログラムを制作してきた彼女が、今回はにおいを使った体験をプロデュースします。
資生堂ギャラリーの階段を降りると、展示会場には丸いテーブル状の台と、それを取り囲むように置かれた8本のポールと、その上に置かれた展示物が目に入ります。
展示物を囲むプラスチックの透明な筒を外し、筒の中に溜まったにおいをかぐことで、展示体験が始まります。
展示物は不思議な見た目の果物から、鉱物、炭などさまざま。それぞれの中に、甘ったるいにおいや理科室でかいだ刺激物のようなにおい、あるいは地下室のようなにおいなど、さまざまなにおいが溜まっています。
必ずしも展示物のイメージと一致しないにおいをかいでいるうちに、ふっと小学校の教室や、久しく出かけていない冬の海の風景を思い出したりと、なんだか自分の中の体験が呼び覚まされるような感覚がありました。
かつてよく聴いていた音楽を聴くと、ふっと当時の風景や空気の温度が呼び覚まされることがありますが、体験としてはそれに近いです。
また、日にちによってはさらに、選んだにおいに紐づいたものを食べさせてくれる体験型のパフォーマンスもあります。この日は「食」の体験の受付はすべて終了していましたが、自分の中に生まれたおぼろげな感覚が、食事を通してどのように変化するのかも体験してみたかったですね。
会期は3月22日(日)までですが、会期後半になるにつれ、「食」を体験するのは難しくなってくると思うので、今のうちにチェックしてぜひ「記憶の珍味」をその目と鼻と舌で味わってください。
休館日:毎週月曜休(月曜日が祝日にあたる場合も休館)
開催時間:平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00
会場:資生堂ギャラリー
入場料:入場無料
HP:https://gallery.shiseido.com/jp/exhibition/