それぞれの心の中に新しい詩が誕生する最果タヒによる“詩の展示”「われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」

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「詩を読む」。あるいは「詩と出会う」と聞いて、どのような状況を思い浮かべるでしょうか。

 

多くの人は本を開き、紙の上に書かれた文字を読んだ瞬間をイメージするでしょう。

 

しかし、最果タヒによる“詩の展示”「われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」では、詩を本の上だけでなく、さまざまな場所に散りばめることで新しい世界を作り出しています。

現代詩人・最果タヒは、詩作以外にも歌詞の提供、エッセイ執筆、評伝の編集など、さまざまな方法で表現を続けてきた現代詩の第一人者とも言える存在です。

 

今回の“詩の展示”「最果タヒ展」は、さまざまなフィールドで活躍する彼女の在り方を反映した、実験的なものになっています。

 

会場には断片的な単語や文章が様々な方法で記述されています。白くて棒状の立体造形物や、天井から吊るされたモービル。本棚の置かれた本の背表紙。そして、グッズ。

さまざまな場所に、「詩になる直前」の言葉たちと表現された言葉が踊っています。

こうした言葉の断片を眺めていくうちに、来場者はいつの間にかそれぞれの言葉を結びつけ、心の中に詩を作り出していきます。

※展示写真は同様の展示を横浜美術館で開催したときのもので、今回の様子ではありません。

こうした体験型の詩との出会いは、書物を通した出会いや、歌や朗読を通した出会いとまた違った言葉の面白さを実感させてくれるものになるでしょう。

 

展示の方法により、言葉との向き合い方が日常生活でのそれと変わっていくという体験は、言葉の感じ方を改めて考える契機になるかもしれません。

 

特別チケット購入でもらえる豆本や、売店で販売されるグッズの中も言葉が散りばめられているため、帰宅後も最果の言葉の世界に浸れる魅力的な展示です。

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最果タヒ展
われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。
会期:2020年12月4日(金)~12月20日(日)11:00~21:00 会期中休館日なし
会場:渋谷PARCO4階 パルコミュージアムトーキョー(その後、名古屋・大阪に巡回)
入場料:一般800円、ミニ本付チケット1,800円
HP:https://iesot6.com/
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