前回ご紹介したALARTの花瓶。
(前回の記事はこちら)
アルミの質感を活かしたすっきりしたデザインが印象的な作品でしたが、同時に「これ、飾って映える家がどのくらいあるだろう?」とも思いました。
整理された家のクリーム色の壁紙に、家具もスタイリッシュで……。
でも、一方で昔ながらの家にはいまいち馴染まなそうな気もします。木の家具にレースの敷物、そして畳……なんて部屋に置いたら浮いちゃいそう? 少なくとも、こたつには絶対マッチしなさそう。何より、部屋が片付いていないと厳しそうです。
逆に考えると、今そのあたりの住宅展示場に入ってこの花瓶を置いたら、だいたいどの展示場でもフィットするような気もします。
新しい家、新しい内装、新しい家具……。最先端の住居デザインに馴染むように設計された花瓶のデザインは、まさしく「現代の花瓶」なのかもしれません。
最近、象印がかつて製造していた花柄ポットをPRするギャラリーというサイトを始めましたが、そこで紹介されているポットはどれもこたつのある家や、古いレースの敷物にフィットしそうなデザイン。
http://www.zojirushi.co.jp/life/garary/
花柄ポットの隆盛に関しては、かつてデイリーポータルZが、魔法瓶記念館に取材し、「日本が豊かになり、デザインに凝るようになったのが一因ではないか」と仮説を立てていましたが、豊かになった先の未来で、またどんどんデザインがシンプルになっていったのはよく考えると不思議ですね。
http://portal.nifty.com/kiji/131120162410_1.htm
生活全体が少しずつその姿を変えていくことを意識しながら、作り手も常に日常に馴染む道具のデザインを考えなくてはならない。
デザインって難しくて、不思議なものですね。