ワタリウム美術館がクラウドファンディング開始、苦境を率直に吐露

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私設の現代美術館として、高い評価を得ているワタリウム美術館。東京の青山地区という、広告代理店やアパレルなど流行に敏感な人々の集まる地域に設立され、1990年の開館から今まで、独特の存在感を示しながら続いてきました。

アンディ・ウォーホルやキース・ヘリング、ナムジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイスなど、海外のアーティストのほか、若い日本のアーティストも紹介してきた同館は、完全家族経営の私設美術館という点においても、日本の美術の歴史にとって非常に重要な存在です。

小さな展示スペースは、企業や行政の運営する比較的広々とした美術館と違い、作品のパワーがギュッと濃縮されるような力強さがあり、青山という気取った印象の街において、美術の雑多な生命力を感じさせてくれる空間でもあります。

そのワタリウム美術館が、新型コロナウィルスによる客数減少を受け、CAMPFIREにおいて運営資金を募るキャンペーンをスタートさせました。

https://camp-fire.jp/projects/view/319761

国営の美術館や、企業のミュージアムと違い、同館の収入の核はチケット販売。しかし、3月からの来館者数が前年の半分に落ち込んでいるとか。キャンペーンサイトでは現在の状況を「美術館の今後を左右する危機的な状況」と表現しています。

今回のクラウドファンディングでは、今後予定されているふたつの展覧会「生きている東京展」(2020年9月5日〜2021年1月30日)および「水の波紋2021展」(2021年2月6日〜5月31日)の制作費(作品輸送費、展示作業日、印刷物作成費、作品保険料など)のほか、美術館運営費(受付人件費、会場運営人件費、光熱水費、通信費など)、ワタリウム映像アーカイブのための映像デジタル化・編集費・配信費用への寄付を呼びかけています。

目標金額は500万円はすでに到達。リターンの目玉だった「キース・ヘリング展」(1983年、キース・ヘリング初来日時)ポスター(5万円コース)や、JRのリトグラフ作品(15万円コース)、ヨーゼフ・ボイスのシルクスクリーン作品(15万円コース)、キース・ヘリングの版画作品(100万円コース)など、同館ならではの貴重なリターンも終了していますが、9月6日からリターンの追加が行われるとか。

現在、キャンペーンページでは、とても率直な感謝の言葉が更新されています。

クラウドファンドに参加くださった沢山の支援者の皆様、本当にありがとうございました。4時間で目標額に達して正直驚いております。先日まで来館者の少ない展示室で落ち込んでおりました。

ご支援と同時に皆様からの励ましの言葉と、ワタリウム美術館との思い出には涙が出るほど感激、感謝です。さて何人かの方々から、リターンの大半が終了しているので、追加リターンをとのリクエストがあり、ここでリターン第2弾を感謝を込めて発表します。ワタリウム美術館の大黒柱と言えるヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、詩人のアレン・ギンズバーグなどの作品が登場します。ご期待ください。

「来館者の少ない展示室で落ち込んでおりました。」という正直な言葉。おそらく多くの美術館・博物館がこうした気持ちを抱えているのでしょう。ワタリウム美術館だけでなく、もし気にかかっている美術館や博物館があれば、直接出向くのが難しくとも、何らかの支援を考えてあげてほしいと感じさせる言葉でした。

ワタリウム美術館公式ホームページ:http://www.watarium.co.jp/

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