集英社がマンガ原稿展示に特化したギャラリーを開設

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ここ10年ほどで増大し、規模を拡大しているマンガの関連展示。

しかし、マンガ原稿は印刷を前提に作られており、出版後の保存状態もまちまちです。

芸術としてのマンガ原稿の見直しや、制作の軌跡を確認できる資料としての価値を問い直す動きが広がり、近年はその保存や再現の方法に注目が集まっていました。

そんな中立ち上がったのが、「集英社マンガアートヘリテージ」。“マンガを受け継がれていくべきアートに”というビジョンのもと、2021年3月にスタートしたプロジェクト。紙の原画を保存に加えて、作者と版元が監修し制作した「マンガアート」を展示・販売するアートギャラリーをオンライン上で展開してきました。

同プロジェクトは、11月24日から麻布台ヒルズ内に常設ギャラリー「集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー」をオープン。

会場では、尾田栄一郎による『ONE PIECE』や久保帯人による『BLEACH』、池田理代子による『ベルサイユのばら』といった作品のアートが展示されます。

オープンを記念して、会場では『ONE PIECE』と『BLEACH』にフォーカスした2つの作品が展示。

「ONE PIECE / リジェネシス」では、『ONE PIECE』第1話のある1ページをピックアップ。赤髪のシャンクスが船出の際、ルフィに麦わら帽子を預けるシーンのアートプリントを、特殊な方法で制作した写植の金属版を撮影した写真と共に展示、販売します。

一方、『BLEACH』に着目した作品の展示「BLEACH / ミレニアム(The Millennium)」では、“千年先”にマンガを伝えるにはどうすればよいのかという問題を提起。

同作品は、正倉院にも保存され、実在する最古の紙といわれる美濃(岐阜)の紙を用いて、100年以上色が保たれることが唯一実証されているといわれる“コロタイプ印刷”を施しているのが特徴。18回も印刷機の中を通し、深い黒を表現しています。

作家・久保帯人のサインと押印を施した本作品は、桐箱におさめられ、ギャラリー内の茶室「阿庵(A-an)」に展示されます。

なおギャラリー内は、印刷機のなかを紙が通る様子をイメージし、曲面を多用した空間に。掛軸作品などを展示するための3畳の茶室・「阿庵」と、購入する作品を選ぶラウンジで構成される、展示空間としても興味深いものになっています。

身近な存在であるマンガを未来に残すプロジェクトの一環。マンガ好きはぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー
オープン日:2023年11月24日(金)
場所:麻布台ヒルズ ガーデンプラザA B1階~MB階
住所:東京都港区虎ノ門5−8−1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA B1
営業時間:11:00~20:00(予約制)
休廊日:月曜日、12月28日(木)~1月3日(水)
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